<研究論文>心臓神経症と禅的療法に関する精神病理学的研究
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概要
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心療内科や精神科においては,1956年以来,心身症あるいは神経症を対象にして,禅的療法が他の療法と併用した好ましい症例報告などの結果が散在している。しかし,心臓神経症に対する禅的療法は,皆無に等しい状況にあると考えられる。本研究は,筒井,石川たちの心臓神経症の分類を,諸心理テストを用いて心身医学や精神病理学などの見地から検討を加え,その客観的科学性を明らかにし,さらに,禅的療法を施行した。ちなみに,調身,調息,調心の組織的な科学性は,すでに道元禅師が,1200年代に創始し,心身の治療と健康維持に最も重要な方法として伝承されている。ここでは禅的療法を心臓神経症に応用し,きわめて好成績が心理テストの結果によって判明した。しかも禅的療法を施行することによって,心身の安定を得ることができるとともに,不安や葛藤を軽減し,自己洞察が深まり自己実現そして創造性の開発にもきわめて有益であり,科学としての東洋的心身医学が市民権を得たものと考えられる。
- 2001-03-31