<原著>木工芸家森田翠玉の音の世界
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概要
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人の音の聴き方は,それぞれの人の生きてきた環境や文化によって形成されると考えられる。そこで,ひとつの仕事を何十年も追求するという仕事の性質から,文化を生み出し,さらに地域の典型的な文化を代表している職人といわれる人の音の聴き方について検討した。今回,仕事場にはかなりたくさんの大きな音があるにもかかわらず,作品を彫っている彼の世界には「音がない」と語る木工芸家森田翠玉のサウンドスケープを考察した。そこには,物理的な無音の状態ということではなく,木を彫っている彼は音と一体化しており,彼自身が音の世界に入り込んでいるために,そこには「音がない」という彼の音の世界を見ることができた。
- 2002-12-25