<原著>皮膚の特異性(I) : 毛の成長に及ぼす下垂体摘出の影響と他の器官への影響比較
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概要
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本研究はラットを用いて,毛,歯,骨の成長に及ぼす下垂体摘出の影響が調べられた。成長は時刻描記法を用い,毛には酢酸タリウム法,骨と歯には酢酸鉛法を殆んど同時に施行して定量的に測定した。得た結果は以下の如くである。1)下垂体のsham-operation(偽手術)は脛骨近位部の骨成長に影響しなかったが,下垂体を摘出すると,骨の成長は明瞭に抑制され,摘出後9日目には骨端軟骨層は極端に狭くなり,骨の成長は殆んど止った状態となった。2)下垂体を摘出すると切歯象牙質の縦軸成長は明瞭に抑制されたが,摘出後9日目で摘出前の成長に対し60%の抑制であった。切歯の石灰化もまた抑制された。切歯の成長は下垂体摘出後1ヶ月になると成長の抑制はさらに強くあらわれたが,切歯は成長しつゞけていた。3)下垂体摘出は発毛を僅かに抑えたが,毛の成長には殆んど影響を及ぼさなかった。さらに皮膚の組織学的変化も見出すことが出来なかった。かくして,下垂体摘出の影響は器官の発生学的起原によって異なり,器官の成長は骨>歯》毛の順序に抑制され,毛の成長には無影響であったことから,毛は特異性をもつことを見出した。
- 山野美容芸術短期大学の論文
- 1993-03-25
著者
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