「第三の道」の可能性 : 市場・国家・市民社会の新たな関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
メルロ・ポンティの主著とみなされる『知覚の現象学』の序文の冒頭は,「現象学とはなにか」という大上段の問いから始まっている。この問いは,単なる儀礼的な振りかざしとみなされるべきではなく,彼の哲学的生涯を通じての根本的な問いである。それは,彼の死の前年の1960年に出版された論文集『シーニュ』所収の「哲学者とその影」での独特のフッセル現象学の読解を通じて,なお現象学の生産性を探っていたことからも,それは疑う余地のないことである。フッセルの現象学を現象学たらしめる所以は,なによりも先ず,それが「現象学的還元」という方法的操作によって成り立っていることにある。そこでこの小論は,メルロ・ポンティの哲学が現象学であるとしたら,彼が根本的なものとみなす世界経験への還帰に際して取られる方法が,はたして「現象学的還元」といえるものなのかどうかを問題にする。
- 金沢大学の論文
- 2003-03-24