日本語文学法における「名」という術語および関連術語の発達史に関する覚え書き
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概要
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本稿では日本文法学における「名」という術語および関連術語の発達の歴史を明らかにした。「名」という名称は最初は定義されずに使われていたが,富士谷成章の「あゆい抄」(1778年)で初めて定義される。鈴木朗は「言語四種論」(1824年)で初めて「はたらく」,つまり,「活用する」という形式的特徴に言及するが,「はたらく」を定義せずに使用する。大槻文彦は「広日本文典」(1897年)で初めてはっきりした「名」の形式的特徴に言及する。その後,進退しながらも,この形式的特徴に関する発言が洗練されていった。このように「名」および関連術語は使用→概念的定義→外形的定義→改良という過程を経てきたようである。後に本稿を補うものとして,さらに続編を発表するつもりである。尚,本論執筆に際して畝田谷桂子氏の協力を得た。