<研究ノート>若年女性の調理能力調査に関する一考察
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概要
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1)生活における食の外部化,多様化が進行する昨今,家庭内における調理能力の低下が問われている。若年女性の調理能力における技術面の状況把握を目的として,女子短大に在籍する学生を対象に調理可能な料理について質問票による調査を行い検討した。同時に調理能力の調査における料理選定を中心に調査方法に間する考察も行った。2)平成9〜11年の3年間,料種別調理可能者数の割合が調査年度によって差異がみられた料理はいり鶏とカスタードプディングであった。この2品を除くと3年間の料理別調理可能者数の割合はほとんど変動がみられず,特にカレーライス・チャーハン・お好み焼きは調理可能者数の割合が高い(80〜90%)料理としてほとんど変動がみられず,かきたま汁・きんぴらごぽうは調理可能者数の割合が中から低程度(30〜40%)で変動がみられない料理であった。3)調理可能者数の割合が下位の6品は調理可能者数の割合が2割に満たない料理であった。そのうち茶碗蒸し,カスタードプディング,赤飯のように「蒸す」調理操作法を含む料理がここに集中した。また,いり鶏,茶碗蒸しのように食材の数が多い料理も調理可能者数の割合が低い結果となった。4)近年市販ルーや調理のミックスものが広く普及し,これらを使用することが常法になりつつある料理が増えていることが推定される。料理の選定にあたり,料理別に市販品の介入の度合いについて実態を把握して,項目を付加する必要性があろう。また,料理を作る上で必要な基礎的調理技術,たとえばルーの他にだし汁,天ぷらの衣,各種合わせ調味料の作り方や乾物の戻し等について,調理可能者数の割合を調査していくことを検討したい。5)選定する料理の難易度や対象者の判断の妥当性を分析していくことが今後の課題として残されている。
- 2000-01-28