解離性中結腸動脈瘤破裂で発症した segmental arterial mediolysis (SAM) の1例
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概要
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症例は68歳,男性。下痢および激しい腹痛を訴え当院に救急搬入された。左中腹部に最強点を有する筋性防御や圧痛,反跳痛があり,腹部造影CT検査などで,腹腔内出血および後腹膜血腫と診断し緊急手術となった。開腹すると腹腔内には多量の血液貯留があり,左側網嚢内から左後腹膜腔に手拳大を超える血腫を認めた。さらに,中結腸動脈の分枝2ヵ所から出血を認め,そこが出血源であると判断した。止血後にその部分を含めた腸間膜を切除し,摘出標本の病理組織学的検査にて,今回の病因が中結腸動脈領域小動脈における解離性動脈瘤の破綻であり,segmental arterial mediolysis(分節性中膜融解症:SAM)の関与が考えられた。SAMは腹部内臓動脈瘤の成因の一つとして近年提唱されている概念であり,急性腹症や出血性ショックで発症することが多いと言われる。内臓動脈瘤の原因としてのSAMの概念を念頭に置き,腹部救急における診断治療にあたる必要があるといえる。
- 日本腹部救急医学会の論文
- 2012-03-31
著者
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