植物が獲得した防御応答物質の生合成遺伝子クラスター : イネにおけるファイトアレキシン生産の制御機構
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
自由に生息場所を移動できない植物は,外敵から身を守るためにさまざまな化学物質を生産しその侵略に対抗する.これらの化学物質のなかには病虫害などに対する防御物質として知られているものも存在しているが,それらの生合成を担う遺伝子はそのほかの代謝産物の生合成遺伝子と同様に,ゲノム中に散らばって存在していると考えられてきた.しかし,近年,ある種の防御物質生産に関与する一連の生合成遺伝子がゲノム中において集中して存在し,遺伝子クラスターを形成していることが報告された.さらに,その存在は複数の植物種において見いだされていることから,生合成遺伝子のクラスター化は植物のゲノム構造における特徴の一つとして理解され始めている.本稿では,植物の遺伝子クラスターの最新の知見について述べるとともに,われわれが現在進めているイネの生合成遺伝子クラスターの転写制御機構の研究成果について解説する.
- 公益社団法人 日本農芸化学会の論文
- 2013-05-01
著者
関連論文
- 植物におけるジャスモン酸シグナル伝達の分子機構
- イネいもち病菌の自己感染補助因子 : 感染過程解析のツール(生物機能からの抵抗性誘導剤の将来展望)
- 17.イネのWRKY型転写因子遺伝子OsWRKY53のエリシターによる発現誘導機構(口頭発表)
- 50.イネにおけるファイトアレキシン生合成遺伝子クラスターの解析(口頭発表,植物化学調節学会第41回大会)
- 67. イネ培養細胞におけるファイトアレキシン生合成に関与するジテルペン環化酵素遺伝子 OsDTC2 の cDNA クローニングと機能解析
- 43. イネのジャスモン酸生合成に関わる12-oxophytodienoic acid還元酵素遺伝子の同定
- 20. イネにおけるジテルペン環化酵素について
- イネのファイトアレキシン生合成遣伝子クラスター : その発見と協調的な発現制御メカニズム
- 平成24年度論文賞対象論文の概要とその研究背景(学会賞受賞論文(論文賞))
- 92. イネの病害抵抗性を制御する転写因子OsWRKY53 の相互作用因子の探索と機能解析(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 90 . イネの根の病害抵抗性発現におけるジャスモン酸の役割(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 植物が獲得した防御応答物質の生合成遺伝子クラスター : イネにおけるファイトアレキシン生産の制御機構