中部地方の気候学的水収支と稲作地帯区分
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概要
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ソーンスウェイトは可能蒸発散量の概念とそれに基づく気候区分の案出者として知られるが、本研究ではこのソーンスウェイトの方法と気候区分の概念に則り、中部地方の稲作地帯の気候区分を行った。可能蒸発散量と水収支の計算をメッシュ化アメダスデータを用いて1kmメッシュ単位で行った。また1979年から2001年にかけての中部地方のすべての市町村の稲の反収のデータを作物統計などから収集した。反収と可能蒸発散量などの気候要素との関係を調べたところ、稲の収量は8月の平均可能蒸発散量がおよそ140mm前後で、乾燥の程度が進むほど多収となることがわかった。また、8月の平均可能蒸発散量、8月の水分指数(乾湿の程度を示す)及び平均反収のデータを用いて、中部地方の全ての市町村をクラスター分析にかけたところ、少なくとも中部地方の稲作地域は5つの特徴ある気候地域に分けられることがわかった。そしてそれらを北陸平野型、東海平野型、長野盆地型、山地型、湿地型と名づけた。これらの区分は稲作に大きく関わる基本的な気候の特徴を現していると考えられる。我々の気候区分は成因であるところの気候要素と、結果であるところの収量の両方に依拠して行われているので、他の気候区分とも若干異なる分布の形態を示した。
- 養賢堂の論文
- 2009-12-10
著者
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