日本の海洋プランクトン研究の発展の歴史と将来への提言
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概要
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日本の海洋プランクトン研究の歩みは、先進諸国のそれとさほど違いがないが、国際的に注目された成果には、赤潮、微小餌科生物の増殖、プランクトン漁業生物に関するものなどがあげられる。地球規模の環境問題が社会の注目を浴びている今日、プランクトンの研究には、人間活動によって生態系がどのように影響を受け、変わりつつあるのかを明らかにし、それへの対策を提言することが望まれている。このためには、国や公共機関の理解と助成なしには果たせない長期にわたる定点・定線観測調査の実施と蓄積されたデータの有効利用がきわめて大切である。生物資源の保全に有効な手段を打ち出せなかった日本の水産学に、生態系を総観するようなプランクトン学が刺激を与え、ともに新たな発展につながることが期待される。研究者には社会の動向や一般とのかかわりを常に意識して、自身の研究を明瞭に説明し、疑問に対して的確な答えを提供できることを望みたい。また、指導者には、これからは狭い範囲の研究課題にしか興味を示さない専門家を育てるのでなく、多種多様なプランクトンと環境全体とのかかわりを総合的にとらえて、思考する学究を増やすための努力を期待する。
- 日本プランクトン学会の論文
- 2003-02-25
著者
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