小児期鼠径ヘルニア手術後の精管閉塞に対する精路再建術の検討

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【はじめに】鼠径ヘルニア根治術は小児外科領域では最も頻度の高い手術である。その手術の合併症として最も頻度が高いのは精管閉塞である。今回われわれは当科で行ってきた小児期鼠径ヘルニア手術後の精管閉塞に対する精路再建術の検討を行った。<BR>【対象と方法】1991年から当科で経験した小児期鼠径ヘルニア手術を原因とする閉塞性無精子症で精路再建術を行った17例を対象とした。精巣容積、内分泌検査、無精子症の原因、二次性の閉塞の有無、手術内容、精子出現率、妊娠率について検討した。<BR>【結果】年齢は18〜39歳 (平均30歳) 。精巣容積10〜26ml (平均18.9ml) 。FSH2.4〜15.9mIU/ml (平均6.3mIU/ml) 、テストステロン250〜691ng/dl (平均459.8) 。原因は両側鼠径ヘルニア手術10例、片側鼠径ヘルニア手術7例。二次的精巣上体閉塞と考えられた症例は7例。最終精子出現率は87.5%、自然妊娠率は50.0%であった。<BR>【考察】閉塞性無精子症で鼠径ヘルニア手術が原因のものは精管切断術後に次いで多い。治療法としては手術による精路再建術と精巣または精巣上体精子を用いた顕微授精があり、個々の症例に応じた治療法が選択される。精路再建術は難度の高い技術が要求されるものの成績は良好である。最近、鼠径ヘルニア手術が原因と考え精路再建術を行ったところ、先天性精路奇形であった症例を2例経験している。今後、鼠径ヘルニア手術の既往を有する閉塞性無精子症患者では、先天奇形など、その他の原因の可能性を十分考慮した治療計画とインフォームドコンセントが求められる。
日本産科婦人科内視鏡学会の論文
2007-12-01

小児期鼠径ヘルニア手術後の精管閉塞に対する精路再建術の検討

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