野外における鶏病の発生と対策 : 鶏病と歩んだ半世紀を回顧して
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概要
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野外における鶏病の発生と対策。鶏病と歩んだ半世紀を回顧して。戦後の鶏病教育:昭和20年代の獣医学での鶏病教育は、家畜伝染病の教科の中で家禽ペスト、家禽コレラ、ニューカッスル病(ND)およびひな白痢の講義を受けたことを記憶している。すなわち鶏病は当時の法定伝染病が対象になっていたに過ぎず、獣医学教育での鶏病の位置づけは極めて低いものであった。さらに戦後診療対象が馬から牛に大きく変わる中で、鶏の飼養羽数は戦争による衰退から回復に向かっていたとはいえ、昭和21年?30年の採卵鶏飼養羽数は690?3900万羽、飼養戸数302?451万戸、1戸当たりの飼養羽数2.3?8.8羽で、典型的な庭先養鶏であったことも診療対象とならなかった大きな原因と言える。戦後の鶏病の指導体制:このように獣医学教育では鶏病の全般についての知識は得られなかった。一方、昭和25年家畜保健衛生所法が施行され、全国各地に家畜保健衛生所(家保)が新設されて野外での検査、診断および予防衛生等の組織が確立された。当時の家保の定例業務は牛の結核、ブルセラ病検査、馬日本脳炎および豚コレラの予防注射が主なもので、鶏は種鶏について平板急速凝集反応によるひな白痢の検査と同時にNDのワクチン接種を実施することであった。当時鶏病や飼育管理の相談先は畜産試験場や養鶏試験場の場合が多かった。そして病鶏や廃鶏の処分は、自転車に籠をつけて一軒一軒農家をまわっている業者に売却するのが一般的であった。
- 2005-10-15