臨床分離病原細菌において新たに発見された薬剤耐性の分子機構
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大腸菌や肺炎桿菌に代表される腸内細菌科のグラム陰性病原細菌はプラスミド上に様々な薬剤耐性遺伝子をもち,それらを巧みに利用することで抗菌薬の攻撃を回避している。近年,新規抗菌薬の開発が滞る一方で,医療環境より分離される細菌から次々と新しい薬剤耐性機構が報告されている。我々は,臨床分離株のプラスミド上に新たなアミノ配糖体耐性メカニズムとして16S rRNA methyltransferase(以下16S rRNA MTase)遺伝子を発見した。16S rRNA MTaseはアミノ配糖体の標的部位である16S rRNA A-site内の塩基を一部メチル化することで,アミノ配糖体の親和性を低下させることにより耐性を付与するものである。また,アミノ配糖体耐性に関与する16S rRNA MTaseには二種類あることを明らかにした。一つは16S rRNAの1405G-N7位をメチル化するもので,もう一つは1408A-N1位をメチル化するものである。これら修飾部位の違いにより,耐性を付与できるアミノ配糖体の種類に違いが見られた。本稿では上記16S rRNA MTaseの機能解析の結果を述べるとともに16S rRNA MTase遺伝子の転位機構についても一部紹介したい。
- 2009-12-25
著者
関連論文
- アミノグリコシド耐性を付与する新規 16S rRNA methyltransferase, PamA の解析
- ペニシリン耐性B群連鎖球菌の出現と耐性機構解析
- 3P-1069 結核菌由来新規diadenosine 5',5'''-P1,P4-tetraphosphate加リン酸分解酵素の機能構造相関解析(2a酵素学,酵素工学,一般講演,酵素学,タンパク質工学および酵素工学,伝統の技と先端科学技術の融合)
- 薬剤耐性獲得のメカニズム (ゼロから始める感染制御と一歩進んだ耐性菌対策) -- (知っておきたい耐性菌の特徴)
- CTX-M-2 ESBLを産生する Providencia rettgeri の遺伝学的並びに疫学的解析
- 臨床分離病原細菌において新たに発見された薬剤耐性の分子機構
- 3-アミノフェニルボロン酸によるスクリーニングで発見されたCMY-2型β-ラクタマーゼ産生大腸菌及び肺炎桿菌の遺伝学的解析
- 1Dp20 結核菌由来新規diadenosine 5',5'''-P^1,P^4-tetraphosphate加リン酸分解酵素の活性発現に関わる構造的要因の解明(酵素学・酵素工学,一般講演)
- 新しいプラスミド性フルオロキノロン耐性 : AAC(6')-Ib-cr
- 我が国における新たな多剤耐性菌の実態調査 (特集 多剤耐性菌)