腸炎ビブリオの3型分泌装置2を介した細胞毒性および腸管毒性機構に関する研究
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概要
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腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)は,わが国における主要な食中毒原因菌である。本菌の病原性発現に関わる主要な因子として,疫学的および遺伝学的研究から,耐熱性溶血毒(TDH)が中心的役割を果たすと考えられてきた。しかしながら,本菌が2セットの3型分泌装置(Type III secretion system: TTSS)遺伝子群を保有すること,そのうちの小染色体上にコードされるTTSS(TTSS2)が腸管毒性活性に関与することや,これらの遺伝子群が臨床分離tdh遺伝子陽性株に特異的に存在することから,本菌の新たな病原因子としてTTSS2の重要性が認識されつつある。本研究ではまずTTSS2がある種のヒト腸管上皮由来細胞に細胞毒性活性を示すこと,このTTSS2依存的細胞毒性活性に関与するエフェクターとしてADP-ribosyl transferase(ADPRT)活性を持つVopTを見出した。さらにTTSS2依存的分泌タンパク質として新たにVopB2およびVopD2を同定し,それらがTTSS2のtranslocon protenとして機能し,本菌のTTSS2を介した下痢原性に必要不可欠な因子であることを明らかにした。
- 日本細菌学会の論文
- 2009-12-25
著者
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