ヒトセメント質および象牙質に含まれる増殖因子について
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概要
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セメント質の保存は歯周組織再生に有利に働くことが知られている。その理由としてセメント質中の分化増殖因子が関連していると考えられる。そこで本研究ではBMP-2とTGF-β1に注目し,それらの検出と量を測定し象牙質と比較した。大臼歯を0.5mmに輪切りにして,0.1N HClで脱灰した。その後,セメント質と象牙質を顕微鏡下で分離し,4M 塩酸グアニジン溶液にて抽出物を得た。ALP活性はヒト歯根膜細胞とC2C12細胞で検出し,セメント質と象牙質を比較した。TGF-β1 とBMP-2はそれらに特異的に反応するルシフェラーゼレポーター遺伝子にて検出した。また,BMP-2とTGF-β1には相互作用があることから,Noggin(BMP-2 阻害剤)またはSB431542 (TGF-β1 阻害剤)を用いた。各抽出物中の活性型BMP-2と活性型TGF-β1の含有量はリコンビナントBMP-2とTGF-β1のALP活性から算出した。その結果,セメント質中のTGF-β1量は35.8pg,BMP-2量は193pgであり,BMP-2のTGF-β1に対する比率は5.39であった。象牙質中のTGF-β1量は58.6pg,BMP-2量は241pgであり,BMP-2のTGF-β1に対する比率は4.11であった。これらの結果はBMP-2の比率が高いセメント質の方が象牙質より骨芽細胞群に有利に働く可能性があると思われる。
- 2007-06-28
著者
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