健常時と病態におけるヒトIgGのグライコフォーム
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概要
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今や 20 種類以上のリコンビナント抗体が,様々ながんや慢性疾患の治療用に認可されている。さらに,文字通り数百もの抗体が開発あるいは臨床の早期フェーズのさなかにある。当初,抗体の魅力は標的抗原への特異性にあった。しかし今や,免疫複合体の形成が臨床上の成否を決する下流の生物活性の引き金となることが広く認められている。そのような生物学的メカニズム(エフェクター機能)の活性化には,抗体の質量のわずか 2-3%にすぎない糖鎖による IgG-Fc の修飾が不可欠であることが示されている。さらに,Fc に結合している糖鎖の構造はタンパク質のコンフォメーションや安定性を決定し,それにより下流の生物学的な効力にも影響を及ぼし得るのである。ある疾患に対して最適となるような均一なグライコフォームの抗体を選択的に生産する細胞株を作り出すために細胞工学的な手法が取り入れてられてきている。治療抗体を高濃度に調製することには利点があるが,IgG-Fab 領域に新たな糖鎖修飾を行うことが,それを支援する技術となるかもしれない。また,生産コストを下げることによって低廉化をもたらし得る生産系も開発されつつある。
- 2009-03-31