昆虫細胞によるヒト型糖鎖を持つ遺伝子組み換え糖蛋白質の発現
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概要
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モノクローナル抗体などの有用な遺伝子組み換え蛋白質の多くは分泌蛋白質であり,N-結合糖鎖を持っている。糖鎖構造などの生化学的性状は蛋白質を発現する宿主細胞や合成される蛋白質,あるいは細胞の培養条件などの影響を受ける。好ましい構造の糖鎖と機能を備えた糖蛋白質の発現には,宿主として使う細胞が適切な糖鎖修飾・成熟に必要な酵素系を持っていることが大切である。バキュロウイルスを用い昆虫細胞で医療用の蛋白質を発現する方法は,低コストに異種蛋白質を大量生産できる潜在的な利点があることは広く知られているが,伝統的ないくつかの昆虫細胞株で発現されるグライコフォームはヒト細胞で発現されるものとは大きく異なる。N-結合糖鎖は糖蛋白質の生物活性,生体内動態などに影響を与えることが多いので,グライコフォームの違いが近年大きな関心の的となった。この 10 年の間に昆虫細胞がヒトとは異なるグライコフォームを作り出す仕組みを明らかにし,医薬品としてより適するヒト型糖鎖を持つ糖蛋白質の昆虫細胞での発現を目指して多くの研究が行われた。
- FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)の論文
- 2009-03-31