アガロオリゴ糖によるヘムオキシゲナーゼ-1誘導機構と抗炎症作用
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概要
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寒天の主成分であるアガロースは酸により容易に加水分解され還元末端にAh-Galを持つアガロオリゴ糖が生成する.アガロオリゴ糖はヘムオキシゲナーゼ-1の誘導を介して抗炎症作用を発揮することが示唆されている.今回,我々はアガロオリゴ糖の抗炎症作用をさらに解析するために,アガロオリゴ糖によるヘムオキシゲナーゼ-1誘導が転写因子Nrf2を介するかどうか,またLPS刺激NF-κBの活性化をアガロオリゴ糖が抑制するかどうか,またその時のヘムオキシゲナーゼ-1の関与について試験した.アガロオリゴ糖はその鎖長によらずヘムオキシゲナーゼ-1産生を誘導した.また,RAW264.7細胞においてsiRNAを高効率低毒性で導入できる試験系において,Nrf2 siRNA遺伝子をノックダウンしたときにアガロビオースによるヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子発現誘導が抑制されることが確認され,Nrf2の関与が示された.また,LPS刺激NF-κBの活性化をアガロビオースはある程度抑制したが,この効果はHO-1 siRNAによってヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子をノックダウンしても影響がなかった.以上の結果から,アガロオリゴ糖はNrf2の活性化によりヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子発現を誘導するが,一方でこのヘムオキシゲナーゼ-1遺伝子発現誘導非依存的にNF-κBの活性化を部分的に抑制し,抗炎症作用を発揮することが示唆された.
- 2010-04-15
著者
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榎 竜嗣
タカラバイオ(株)バイオ研究所
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田辺 雅茂
タカラバイオ(株)バイオ研究所
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霜村 真弓
タカラバイオ(株)バイオ研究所
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大野木 宏
タカラバイオ(株)バイオ研究所
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榎 竜嗣
タカラバイオ株式会社
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大野 木宏
タカラバイオ(株)バイオ研究所
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