小鳥のさえずりの維持と可塑性 : 成鳥における聴覚フィードバックの役割について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
スズメ目の鳴禽類, オウム目, ハチドリ目に属する鳥は, 音声学習によってさえずり (歌) を発達させ, 種内のコミュニケーションに用いている。鳴禽類の雄の幼鳥は, 成長期に手本となる鳥の歌を聞いて記憶し練習することで歌を完成させる。この練習時には, 自分のさえずる歌が学習目標となる歌の手本にどれだけ近づいたかを常にモニターするために, 聴覚フィードバックが必要であることが明らかにされている。さらに, 成鳥が完成後の歌を維持するためにも, 同じ理由で聴覚フィードバックが必要であることが, 筆者等の研究も含めた近年の報告により明らかになってきた。成鳥での聴覚フィードバックの重要性については, 鳴禽類の種で異なる結果が報告され, いまだに不明な点が多い。そこで本稿では, 筆者等の研究結果を交え, まず行動レベルで聴覚剥奪後の歌の特徴を比較して, 成鳥の歌の維持における聴覚フィードバックの必要性について検討した。次に, 聴覚剥奪によって成鳥の歌が変化する時に起こる脳内の変化を調べ, 聴覚フィードバックによって制御される成鳥の歌維持の脳内機構についても考察した。
- 日本比較生理生化学会の論文
- 2006-01-30
著者
関連論文
- 鳥の脳--ヒト言語野相当領域における性差 (特集 性差と脳)
- 小鳥のさえずりの維持と可塑性 : 成鳥における聴覚フィードバックの役割について
- 成鳥の歌の維持および可塑性と聴覚フィードバックの役割
- 第27回日本比較生理生化学会に参加して
- 第26回北米神経科学学会シンポジウム「鳥の歌, この20年間の進歩」に参加して
- 鳥の歌学習の脳内神経機構 : 鳥歌学習臨界期の脳可塑性を制御する物質を求めて