豚糞尿混合物のpH, 尿中窒素含量および脱臭資材の添加が in vitro アンモニア揮散量に及ぼす影響
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概要
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ブタの糞尿混合物からのin vitroアンモニア揮散量測定装置を用い,糞尿混合物のpHおよび尿中窒素含量がアンモニア揮散量に及ぼす影響について検討するとともに,当該装置の散布型脱臭資材の評価への適用を試みた.実験1では,培養開始時の糞尿混合物のpHを4〜9の6水準に調整し,24時間におけるアンモニア揮散量および培養後の糞尿混合物に残留したアンモニア態窒素含量を測定した.実験2では,尿中窒素含量が2.6〜9.2mg/gの範囲の6水準の豚尿を供試し,アンモニア揮散量を測定した.実験3では,市販の散布型脱臭資材(粉末,鉱物系)を糞尿混合物に0, 0.5, 1.0および1.5%添加し,培養開始時および48時間後の終了時のpH,およびアンモニア揮散量を測定した.得られた結果は以下の通りであった.実験1では,アンモニア揮散量は,培養開始時のpHが4の場合はゼロであり,pH 7まで直線的に増加した.24時間後に糞尿混合物中に残留したアンモニア態窒素量を含めたアンモニア発生量の総量はpH 5以上では有意差は認められなかった.実験2では,尿中窒素含量が2.6から7.4mg/gへ高まるにともない,アンモニア態窒素揮散量(平均値)は18から104mgへ直線的に増加した.実験3では,資材を0, 0.5, 1.0および1.5%添加した場合の培養開始時のpHは,それぞれ,6.77, 6.36, 6.10および6.06と資材の添加量の増加とともに低くなった.また,アンモニア態窒素揮散量(平均値)は,それぞれ,89.4, 65.6, 40.8および36.2となり,1.5%の添加で,無添加の場合に比較して約40%にまで低減された.以上の結果から,アンモニア揮散量のin vitro測定装置による測定では糞尿混合物のpHおよび尿中窒素含量が影響し,また,当該装置により散布型脱臭資材のアンモニア揮散量低減効果が評価できることが示唆された.
- 社団法人日本畜産学会の論文
- 2003-08-25
著者
-
伊藤 稔
(財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所
-
山本 朱美
(財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所
-
古谷 修
(財)畜産環境整備機構畜環研
-
山本 朱美
畜環機構畜環研
-
古谷 修
畜環機構畜環研
-
山本 朱美
(財)畜産環境整備機構 畜産環境技術研究所
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