β-ラクタマーゼ阻害薬配合抗生物質製剤「注射用タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム」(ゾシン_【○!R】静注用2.25, ゾシン_【○!R】静注用4.5)の薬理学的特性および臨床効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
タゾバクタム・ピペラシリン(ゾシン®静注用2.25,ゾシン®静注用4.5)は,β-ラクタマーゼ阻害薬であるタゾバクタムと広域抗菌スペクトルを有するペニシリン系抗生物質であるピペラシリンを力価比1:8の割合で配合した注射用抗生物質であり,2008年10月より販売されている.本剤は,各種のβ-ラクタマーゼ産生菌を含むグラム陽性菌および緑膿菌などのグラム陰性菌に対して強い抗菌力を有し,タゾバクタムの添加によって薬剤耐性菌の出現頻度が抑制されることが明らかにされている.これまでに国内で実施された敗血症,肺炎,複雑性尿路感染症および小児感染症を対象とした臨床試験においても,優れた細菌学的効果と臨床効果を示すことが証明されている.本剤は,1992年以降,海外において国内の適応症のほか,腹腔内感染症や発熱性好中球減少症などの重症・難治性感染症の標準治療薬として使用されてきた.本剤の用法・用量は,臨床分離菌に対する抗菌力と体内動態に基づくPK-PD解析の結果から設定され,1日最大投与量は18 g(4.5 g 1日4回:重症・難治の市中肺炎および院内肺炎患者)であり,緑膿菌などの重症・難治性感染症の原因菌に対しても有効性が期待できることが明らかにされている.健康成人を対象とした臨床薬理試験では,4.5 g 1日4回の7日間反復投与においてもタゾバクタムおよびピペラシリンの血漿中濃度に蓄積性は認められていない.国内の臨床試験において認められた主な副作用は,肝機能異常と下痢などの胃腸障害であり,本剤の安全性プロファイルは海外と本質的に差がなく,日本人においても安全に投与できるものと考えられた.タゾバクタム・ピペラシリンが使用できることにより,国内においても海外と同様に重症・難治性感染症に対してペニシリン系抗菌剤での治療が可能になり,耐性菌出現抑制にも寄与するものと考えられる.
- 2009-06-01
著者
-
宇治 達哉
大鵬薬品工業株式会社 薬理研究所
-
橋本 好和
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部開発センター 開発部
-
宇治 達哉
大鵬薬品工業株式会社
-
宇治 達哉
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部研開推進部
-
橋本 好和
大鵬薬品工業(株)
関連論文
- β-ラクタマーゼ阻害薬配合抗生物質製剤「注射用タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム」(ゾシン_【○!R】静注用2.25, ゾシン_【○!R】静注用4.5)の薬理学的特性および臨床効果
- イヌ排尿障害モデルに対するα1受容体遮断薬及び5α-reductase阻害剤の効果
- 新規5α-reductase阻害剤TF-505のラット血中および前立腺内ジヒドロテストステロン濃度低下作用
- 新規5α-reductase阻害剤TF-505のテストステロン誘発ラット前立腺肥大モデルにおける前立腺縮小作用と排尿障害改善作用
- 前立腺肥大症組織における5-Alpha-Reductaseのサブタイプ、Type-1およびType-2の発現と酵素活性に関する検討
- 家兎における日本産およびアメリカ産肝蛭の実験的感染
- 新規5α-reductase阻害剤TF-505の作用機序に関する検討
- 新規5α-reductase阻害剤TF-505のイヌ排尿障害モデルに対する改善作用
- Tazobactam (TAZ/PIPC)
- ミオカーム