血管新生評価法
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概要
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血管は人体のあらゆる組織に隈なく走行しており,成人の血管をすべて伸ばすとその長さは約10万kmにも及ぶ.血管の役割は生命維持に不可欠な酸素,栄養や水分を全身組織に運搬することであり,異常な血管新生や動脈硬化に代表される血管閉塞は組織機能の破綻に直結する.血管新生は既存の微小血管から新たな血管枝が分岐して血管網を構築する現象であり,生理的には創傷治癒時に観察されるほか,糖尿病性網膜症,関節リュウマチや悪性腫瘍の進展に深く関わる(1).特に腫瘍の増殖や転移における血管新生の役割は盛んに研究されており,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)やアンギオポイエチンの関与が証明されてきた.これら細胞生物学的,分子生物学的な血管新生研究の進展を背景に,抗VEGF抗体やシグナル阻害薬の抗癌薬としての臨床開発や認可が現在進んでいる.抗血管新生療法とは逆に,血管新生は組織再生に不可欠な要因であることから,近年注目されている再生医療の現場では,効率的な血管新生促進法の開発が進められている.これが確立されれば,心筋梗塞,脳梗塞ならびに糖尿病に合併する閉塞性動脈硬化症など,これまで治療が難しかった重症虚血性疾患の治療や再生が可能となるであろう.このように今後,血管新生を標的とする薬物の評価に対する学術的,社会的ニーズはますます増加すると考えられる.本稿ではin vitroとin vivoの大きく2つにわけて代表的な血管新生評価法についてその方法と特徴の概要をまとめてみたい.
- 2009-05-01
著者
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