Sh2b3/Lnkアダプター群による免疫系制御機構
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概要
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Sh2b3/Lnkは,富プロリン部を含んだ多量体形成に働くN末端領域,PHドメイン,SH2ドメイン,チロシンリン酸化部位を持つ細胞内アダプター蛋白質であり,Sh2b1/SH2-BやSh2b2/APSとともにショウジョウバエから保存されているアダプター蛋白質ファミリーを形成する.lnk欠損により,B細胞過剰産生や造血幹細胞の著しい増幅および機能亢進が認められ,Sh2b3/Lnkが造血系細胞におけるサイトカインシグナルの抑制性制御分子であることがわかってきた.さらに,巨核球系前駆細胞での機能解析から,サイトカインシグナルとともに細胞接着に関与するシグナル制御系でも作用することが明らかになってきている.また,全ゲノム領域のSNPs解析から,Sh2b3/Lnkの多型が自己免疫性のI型糖尿病及びセリアック病の関連遺伝子として同定されており,免疫応答制御における役割,自己免疫病態形成への関与が注目される.本稿ではSh2b3/Lnkアダプター群を介する免疫担当細胞,造血幹細胞の維持・制御機構ついて論じ,それらを標的とした造血制御法の可能性についても紹介したい.
- 2008-12-31