血液透析導入時に Wernicke 脳症を合併した1例
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概要
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患者は74歳女性で,慢性腎不全にて保存的加療を行っていた.原疾患は腎硬化症が考えられていた.平成19年10月より吐気,食思不振を訴え,尿素窒素(BUN)64.1mg/dL,クレアチニン(Cr)5.14 mg/dL,重炭酸濃度(HCO3-)13.2 mmol/Lと腎不全の悪化を認めたため10月23日より入院となった.上部消化管内視鏡は慢性胃炎の所見であった.第3病日にはBUN 80.4mg/dL,Cr 6.38mg/dLと腎不全が進行し,尿毒症を考え第4病日より血液透析を開始した.しかし,その後も吐気が持続し,眼の焦点が合わない,頭がぼやけるなどの訴えが出現した.徐々に傾眠傾向となったため,第8病日に頭部MRIを撮影した.中脳水道周囲,乳頭体,視床内側に拡散強調像,T2強調像,fluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)にて高信号域を認め,Wernicke脳症が疑われた.同日よりフルスルチアミンの投与を行ったところ意識レベルは速やかに改善した.後にビタミンB1は14(正常20〜50)ng/mLと低値であったことが分かった.維持血液透析,リハビリを続け,第57病日にリハビリ目的にて他病院に転院となった.食事療法,尿毒症による栄養摂取不良と血液透析による水溶性ビタミンの喪失がWernicke脳症の原因と考えられた.
- 2009-05-28
著者
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鬼無 洋
小牧市民病院腎臓内科
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吉岡 知輝
小牧市民病院腎臓内科
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浦濱 善倫
小牧市民病院腎臓内科
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飯田 喜康
小牧市民病院腎臓内科
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政本 大二郎
半田市立半田病院腎臓内科
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西村 勇人
半田市立半田病院腎臓内科
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渡辺 緑子
半田市立半田病院腎臓内科
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吉岡 知輝
小牧市民病院循環器科
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