脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いた血管障害合併症の薬効評価試験系
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概要
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近年,糖尿病,高血圧,高脂血症,肥満など,いわゆる生活習慣病が社会問題となっているが,これらの疾患は動脈硬化を引き起こし,脳卒中,心筋梗塞,神経障害,腎障害,網膜症などの血管合併症につながっていくため,生活習慣病さらにそれに引き続いて起こる合併症を改善する治療薬の要望は年々高まっている.本稿では,選択交配により作出された脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いて,その脳血管に対する脆弱性という特徴を生かし,血管障害合併症の中で脳卒中後遺症および糖尿病網膜症に対する治療薬評価系を確立した.SHRSPに1%食塩水を飲用水として与えることによって,脳卒中発症期間の短縮,初発発作重篤度の均一化をはかり,さらに初発発作後に飲用水を水道水に戻すことにより,再発作や慢性的神経症状などの後遺症が認められる脳卒中後遺症モデルを作成した.後遺症評価として,神経症状のスコア化やMRIによる画像診断により,薬剤の治療効果が評価可能である.また,脳血管が脆弱なSHRSPの特徴から,脳血管と構造が類似する網膜血管の脆弱性が想定されたため,ストレプトゾトシン投与によって高血糖を惹起させて,血糖依存的な網膜障害を発症する糖尿病網膜症モデルを作成した.本モデルにおいて,動物モデルでは発現が難しかった網膜症につながる網膜変化(VEGF mRNA発現亢進と律動様小波の潜時延長)が認められ,これらの指標を用いて薬剤の治療効果を明らかにした.このように選択交配により確立された自然発症病態モデル動物の発現している特徴を生かすことにより,さらに有用な疾患モデルを作出することが可能である.
- 2008-10-01
著者
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