ラット, マウスを用いた In Vivo 皮膚微小循環解析法
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概要
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皮膚血管は冷却刺激に応答して収縮し,体表面からの熱放散を制限する.この反応は,交感神経の興奮を介する全身性メカニズムと,局所的に皮膚血管の収縮反応性が増大する局所性メカニズムとが相乗的に機能して引き起こされる.局所性メカニズムの存在は,摘出血管を用いたin vitro実験によって証明されてきた.我々は,ラットやマウスを使ってin vivoで皮膚血流調節を解析する実験方法を確立した.皮膚循環は,様々な因子に起因する神経性の影響を強く受けるため,in vivoで皮膚血流を定量的に測定することは難しい.そこで,電位依存性Na+チャネル阻害薬であるテトロドトキシン(TTX)処置により神経伝導を遮断した条件下で皮膚血流を測定することを試みた.この条件下においても,ラットおよびマウスの後肢を局所冷却することにより,足底部の皮膚血流量が減少することを証明し,局所性メカニズムによる反応をin vivoで定量的に評価できることを示した.興味深いことに,マウスとラットでは,この反応の主要なメカニズムが異なっていた.すなわち,ラットでは,冷却刺激により血管あるいは周囲の細胞からATPが遊離され,これが交感神経終末のP2受容体に作用することでノルアドレナリン遊離を誘発し,平滑筋細胞の主にα1受容体の活性化を介して皮膚血管が収縮するのに対し,マウスでは,冷却刺激はRhoキナーゼの活性化を介して血管平滑筋のα2C受容体を介した収縮反応性を増大させることで皮膚血管を収縮させることが示唆された.In vivoでの解析は,レイノー病はもちろん,糖尿病やホルモン異常など末梢循環障害を来たす病態と皮膚循環調節との関係を解析する際に不可欠であり,この解析方法はこうした病態の治療薬や予防薬の開発にも役立つであろう.
- 2008-08-01
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