新規抗てんかん薬トピラマート(トピナ^【○!R】錠)の薬理作用と臨床成績
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概要
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トピラマートはフルクトピラノース骨格にスルファマート構造を有する新規の抗てんかん薬である.2008年2月までに英国,米国をはじめとして,世界100ヵ国以上で承認されており,本邦では,トピナ®錠として2007年7月に承認を取得した.動物実験では,げっ歯類において最大電撃けいれん,扁桃核キンドリング発作および聴原性発作を抑制したが,ペンチレンテトラゾールけいれんに対してはほとんど抑制作用を示さなかったことから,主に発作波の伝播を抑制するタイプの薬剤であると考えられる.また,作用メカニズムとして,(1)電位依存性ナトリウムチャネル抑制作用,(2)電位依存性L型カルシウムチャネル抑制作用,(3)AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用,(4)GABA存在下におけるGABAA受容体機能増強作用および(5)炭酸脱水酵素阻害作用が考えられており,グルタミン酸による興奮性伝達とGABAによる抑制性伝達を同時に調節し得ることが,トピラマートの特徴と考えられる.本邦の臨床試験では,第III相比較試験として,既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制効果が得られない部分てんかん患者を対象に,フェニトイン,カルバマゼピンなどの基礎治療薬にトピラマートを付加投与した際の有効性および安全性をプラセボ対照の二重盲検比較試験で評価した.その結果,主要評価項目のてんかん発作発現頻度減少率(中央値)は,プラセボ群の13.70%に対し,トピラマート群が33.40%であり有意(P=0.006)に優る結果であった.一方,副作用は,これまでの国内外における臨床試験,および海外における市販後の副作用報告で得られた既知の事象が多いこと,またその多くは,傾眠,めまいなどの中枢神経系のものであり,その程度は軽度または中等度のものがほとんどであったことから比較的安全性も高いと考えられた.これらの成績から,トピラマートは,本邦においても部分てんかん患者に対する有用な治療薬の一つになるものと考える.
- 2008-07-01
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