満期産で生児を得た長期透析患者の1例
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概要
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症例は慢性糸球体腎炎由来の腎不全にて10年来血液透析を行っている36歳の女性.1997年初回妊娠,妊娠中に血液透析導入をされたが,妊娠27週で帝王切開にて早産,児は体重362gで新生児死亡となった.近医で維持透析を続けていた.2000年人工授精で妊娠するも31週でやはり帝王切開で早産.児の体重は452g,新生児死亡となった.2006年人工受精で妊娠し,同年6月妊娠9週で当院産科に妊娠管理目的で紹介入院となった.入院後19週までは週5回の透析,20週以降は週6回透析とした.妊娠高血圧症候群は発症せずむしろ低血圧となり透析中の血圧管理に慎重を要した.妊娠中児の発育は良好で形態異常は認めなかった.妊娠37週6日腰椎麻酔下帝王切開術を施行し,児の体重は2,370g,Apgar scoreは1分後8点,5分後9点であった.母児ともに経過は良好で術後8日目に退院となった.退院後児は現在まで正常で良好な発育を示している.われわれは透析10年目で無尿の透析患者の妊娠管理,満期産での出産に成功したので報告する.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2008-07-28
著者
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西村 大介
大分県立病院消化器腎臓内科
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西村 大介
大分県立病院 皮膚科
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柴冨 和貴
大分県立病院消化器腎臓内科
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和泉 泰衛
大分県立病院消化器腎臓内科
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久保田 陽子
大分県立病院消化器腎臓内科
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加藤 有史
大分県立病院消化器腎臓内科
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豊福 一輝
大分県立病院産婦人科
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豊福 一輝
大分県立病院
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