「感染制御イマジネーション」研修会の有用性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大規模震災の発生に備えた「防災イマジネーション」という概念がある.防災に限らず,緊急事態発生に備えて,常日頃からイメージして「イマジネーション」を高めておくことが大切である.院内感染においても,遭遇した者に適切な初期対応が欠けていれば,被害を最小限に抑えることは困難である.そこで,「感染制御イマジネーション」を高めるための研修会を,ノロウイルス感染症を題材に開催した. 対象はA病院看護師13名.具体的事例を提示し,感染制御を目指してイメージを膨らませた個人検討内容を記述した後,グループ検討を経て再び個人検討を行った.グループ検討はメンバーを入れ替え,計2回行った.感染制御の理想的対応として,それぞれ小項目5つを含む,大項目計6項目(I初期対応,II嘔吐物処理,III患者対応,IV職員自身の健康管理,V病棟管理・院内制御,VI中長期的対応)をICTで作製した.小項目1項目に付き1点として,個人検討での記載内容から該当項目の有無により点数化し,イマジネーションの拡がりを客観的に評価した.開始時,第1回グループ検討後,第2回グループ検討後の平均総得点数は,それぞれ9±1.63点,11.7±2.14点,13.5±2.22点と有意に増加した(p<0.01).大項目別得点数も経時的拡がりを示し,II・VI以外では有意に増加した(p<0.05). 感染制御イマジネーションを高めることの出来る本法は,施設の専門性や規模に関わらず施行可能な実践的な教育方法である.
- 2008-05-23
著者
-
遠藤 美紀
松山記念病院院内感染対策委員会
-
戸村 美名子
松山記念病院看護部
-
佐伯 真穂
松山記念病院院内感染対策委員会
-
河野 恵
道後温泉病院看護部
-
大西 誠
道後温泉病院院内感染対策委員会
-
山内 勇人
道後温泉病院院内感染対策委員会
-
長尾 さおり
道後温泉病院院内感染対策委員会
-
大西 誠
道後温泉病院 内科
-
河野 恵
道後温泉病院院内感染対策委員会
-
長尾 さおり
道後温泉病院リウマチセンター院内感染対策委員会
関連論文
- 「感染制御イマジネーション」研修会の有用性
- 新型インフルエンザ対策におけるサージカルマスク不足への代替案--地域発!「咳エチケット」実施の現実的なアイデア
- 日本環境感染学会教育ツールを活用した職員教育
- 「ノロフェーズ」を用いた感染性胃腸炎に対する院内感染対策の取り組み
- インフルエンザ罹患職員の就労停止期間短縮の試み
- 接触・交差伝播の視覚的検証方法の検討
- インフルエンザ院内感染対策としての予防的マスク着用の有用性
- 慢性関節リウマチに合併した二次性アミロイドーシスにおけるSAA1,SAA2,アポリポ蛋白Eの遺伝多型と疾患感受性の検討
- 精神科病院における「鍵」に対する清潔意識と取り扱いの現状 : 手指衛生遵守の観点から
- インフルエンザ(H1N1)2009に対するオセルタミビルリン酸塩の予防・治療内服の検討
- インフルエンザ(H1N1)2009に対するオセルタミビルリン酸塩の予防・治療内服の検討