大規模グライコミクスを可能にする BlotGlyco ビーズによるグライコブロッティング法
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概要
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発生,分化,老化,病態等の様々な生命現象に伴い糖鎖の構造や発現量に変動が見られることが知られている。遺伝子やタンパク質の発現を網羅的に解析するトランスクリプトームやプロテオミクスの技術がある程度規格化され,診断や治療への応用研究が加速しているのに対し,糖鎖の定性・定量的な発現動態(グライコミクス)を同等のスループットで解析する手法は確立すらされていない。糖鎖研究はポストゲノムの重要な課題の一つとして各国で多くの糖鎖関連プロジェクトが推進され,糖鎖の構造解析技術は質量分析を中心に着実に進展しているものの,生体試料から微量の糖鎖を高速・高収率かつ高精度に精製するサンプル調製における優れた戦略が欠落しているのが現状で,血清や組織等の臨床試料を用いて大規模グライコミクスを推進する大きな限界となっている。 糖鎖の機能を解明し,診断や治療に展開していくためには,規格化された糖鎖の定性的・定量的プロファイル取得法の開発が最重要課題である。近年,glycoblotting 法と呼ばれるケモセレクティブな糖鎖捕捉反応に基づいて,生体試料由来糖鎖の網羅的かつ定量的なプロファイル取得を大幅に高速化する技術が開発された。本法では血清等の生体試料を,自動化可能な工程により多検体処理することが可能で,かつ分析手法にふさわしい糖鎖の修飾・標識さえもが一連の流れのなかで達成される。BlotGlyco ビーズの利用と glycoblotting 法の組み合わせによる革新的な糖鎖試料調製と糖鎖プロファイル解析は,糖鎖生物学のみならず糖鎖バイオマーカー・糖鎖関連創薬への大きな貢献が期待される。
- 2008-01-02
著者
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Miura Yoshiaki
Jst Sentan Frontier Research Center For Post-genome Science And Technology Graduate School Of Life S
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Nishimura Shin-ichiro
Jst Sentan Frontier Research Center For Post-genome Science And Technology Graduate School Of Life S