加齢黄斑変性治療薬の基礎と創薬ターゲット
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概要
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ヒトは外部情報の80%を視覚から脳にインプットしていると言われている.この重要な情報入手ルートを眼科疾患により遮断された場合,予想以上に不自由な生活を強いられることとなり,Quality of Life(QOL)の低下につながる.視覚機能を維持していくのに眼と脳は重要な組織として知られているが,特に眼球後部の網膜組織が重要な組織として挙げられる.しかし,この網膜組織は複雑でしかも脆弱な組織として知られており,またこの組織での障害は不可逆的であることから,視力維持に注意を要する組織であることに間違いない.今回,国内では未だ認知度は低い疾患ではあるが,加齢黄斑変性という疾患について基礎面からまとめてみた.この加齢黄斑変性は,その名前のとおり,視覚機能維持に重要な黄斑部の疾患であり,この部位の組織障害は直接的に視力低下につながる.欧米では本疾患を視力低下につながる最も重大な疾病として位置づけているが,この疾患に対する治療薬の研究は未だ完成を見ず,ようやくいくつかの製剤が承認されたばかりである.本疾患の主病態である脈絡膜血管新生と網膜色素上皮細胞や視細胞の萎縮・脱落に対する治療アプローチについてはまだまだ検討の余地が残されており,今後の基礎あるいは臨床的な薬理研究から有用性の高い薬剤の登場を期待したい.
- 2008-01-01
著者
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