トウガラシ(Capsicum annuum L.)における水利用効率の品種間差異
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概要
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メキシコ, 南バハ・カリフォルニア州で栽培されているトウガラシ8品種を用い, 乾物生産および水利用効率の品種間差を調査した。処理として毎日の蒸発散量を灌水する無処理区とその40〜50%を灌水する乾燥区を設けた。処理は定植後48日目から2週間にわたって行った。処理期間中の個体当り乾物増加量と水利用効率には大きな品種間差が認められた。乾物増加量の品種間変異係数は対照区21.4%, 乾燥区31.5%であり, 水利用効率のそれは対照区17.9%, 乾燥区31.5%で, 乾燥区においてより大きな品種間差が存在した。水利用効率と乾物増加量との間には, 処理別, 処理こみともに有意な正の相関が認められた。水利用効率はまた, 純同化率(NAR)と密接な正の相関を示した。このように, 乾物増加量の品種間差はストレスの有意に関わらず水利用効率を介してNARに強く規制され, NARの高い品種ほど水利用効率が高く, 乾物増加量は多かった。NARは, 対照区では処理期間中の積算蒸発散量/同個体当たり平均葉面積比(ET/<LA>^^^-)と強い正の相関を示し, ET/<LA>^^^-の大きい品種ほどNARは高かった。しかし, 乾燥区ではNARとET/<LA>^^^-の間に有意な相関関係は認められなかった。そこで, ET/<LA>^^^-と処理期間中の個体当たり非同化器官乾物重/同平均葉面積比(CW/LA)を用いた重回帰分析を行ったところ有意な重相関係数が得られた。ET/<LA>^^^-と<CW>^^^-/<LA>^^^-は約3 : 2の割合でNARに関与しているとみられ, 乾燥区ではET/<LA>^^^-が大きく, <CW>^^^-/<LA>^^^-が小さい品種においてNARが高くなった。これらにより, 水ストレスを受けない場合, NARの品種間差は光合成速度によって決定されるが, 水ストレスを受ける場合はその他に呼吸に関わる要因等も影響すると推察された。
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1995-12-01
著者
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豊田 正範
メキシコ沙漠地域農業開発計画 国際協力事業団
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ラリナガ フアン
塩輸出公社
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有吉 誠志
メキシコ沙漠地域農業開発計画, 国際協力事業団
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有吉 誠志
メキシコ沙漠地域農業開発計画 国際協力事業団