ブルータングウイルスの流行状況
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概要
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吸血性の昆虫やダニなどによって媒介されるアルボウイルスは,現在500種類以上が知られ,そのいくつかは人に健康被害をもたらすだけでなく,家畜に感染して大きな経済的損失をもたらすことが知られている。通常,ウイルスが常在化している地域において,アルボウイルスの感染は,ほとんどが症状を示さない場合が多い。しかし,ウイルスが常在化していない温帯地域では,感受性動物の抗体保有率が低いことや,飼養される家畜の品種が耐性を持っていないなどの理由により,時として大規模な流行が起こりやすく,発症動物の数も増大する傾向にある。2006年,ヨーロッパ北部で突然,反芻動物に感染するアルボウイルスのひとつであるブルータングウイルスの流行がおこり,当地の畜産業に直接および間接的に甚大な被害をもたらした。流行は2006年以降も続き,その対策には多大な労力と資金が投入されている。本稿では,ヨーロッパ北部での流行を取り上げながら,日本におけるブルータングの現状にも触れつつ話を進めていきたい。
- 2008-07-20