市町村農業公社による新規参入者研修システムの成立条件に関する一考察 : 久万農業公園アグリピアを事例として
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概要
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近年、農業への新規参入者の主要な就農ルートとして「農業研修」を受けた後に就農する形態が挙げられる。全国新規就農相談センターによれば、新規参入者の64%が農業研修を受けており、これが就農に向けた「入口」として機能している。農業研修の受け入れ側には多様な主体があるが、市町村行政が受け入れ主体となるものには「市町村」が直接主体となるものと「市町村農業公社」によるものがある。このうち、多くの研修生を受け入れているのは「市町村農業公社」の研修事業である。しかしながら、市町村農業公社による研修事業に関する先行研究は未だ少ない状況にある。柏、副島・柏は、インキュベータ事業が新規参入者を含めたI・Uターン者の農業への参入コストを低減したと評価している。一方で、公社経営が脆弱であるために研修・教育機能に不備があると指摘し、公社の経営能力向上や「妥当な」公的投資の必要性について論じている。上述の研究では、研修事業の継続性や運営方式など、いかに事業を継続させるかという検討がなされた。このため、研修事業の実質的な「受け手」である研修生が制度やシステムをどのように評価しているのかについての検討は充分であるとは言えない。そこで本稿では、事例調査をもとに、実際に研修事業を利用した当事者からの評価を明らかにすることで、市町村農業公社による「農業研修」と「就農支援」の在り方について考察を行なう。次節以降では、新規参入プロセスと農業公社の役割を理論的に検討した上で、研修システムの概要とその評価を行う。事例として愛媛県久万高原町における久万農業公園アグリピアの研修事業を対象とする。
- 2008-06-25
著者
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