超音波検査用造影剤ペルフルブタン(ソナゾイド^【○!R】注射用)の基礎および臨床試験成績
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概要
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ソナゾイド®注射用は,ペルフルブタン(C4F10,PFB)ガスを水素添加卵黄ホスファチジルセリンナトリウムで安定化したPFBマイクロバブル(以下マイクロバブル)を有効成分とし,超音波検査における肝腫瘤性病変の造影を目的とする.マイクロバブルは超音波を効率良く反射するが,ソナゾイドは静脈内投与すると肺の毛細血管床を通過して肝循環に到達するため,ハーモニックモードによる造影超音波検査(造影超音波)では明瞭な肝臓造影効果が得られる.正常ウサギにおいて,本剤は静脈内投与直後の血管造影(血管イメージング)と投与後5〜10分以降に認められる肝実質造影(クッパーイメージング)の2種の造影パターンを示した.また,本剤をウサギ移植肝腫瘍モデルに投与すると,血管イメージングから腫瘍の血流情報が,クッパーイメージングから腫瘍と肝実質とのコントラストに基づく腫瘍の存在情報がそれぞれ得られた.病理所見との対比から,血管が分布する部位は血管イメージングで陽性に造影されることが示された.また,クッパー細胞が存在する部位はクッパーイメージングで陽性に造影され,その結果,クッパー細胞が存在しない腫瘍部はクッパーイメージングで陰性に造影された.クッパーイメージングの造影機作が,クッパー細胞によるマイクロバブルの貪食に起因することを,ラットおよびウサギの肝臓の電子顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡観察により検証した.以上から,血管イメージングは,肝腫瘤性病変の血管・灌流を造影することで病変の鑑別診断能向上が,またクッパーイメージングはクッパー細胞を持たない悪性腫瘍の検出能向上が期待された.本邦での肝腫瘤性病変を有する患者を対象とした単一用量多施設試験では,肝腫瘤性病変の鑑別診断の正診率および病変検出能において,本剤による造影超音波の方が非造影超音波検査(単純超音波)より優れることが検証された.また,副次的評価では,造影CT検査と比較して,正診率,病変検出能は同等以上であるという結果が得られた.肝癌のラジオ波焼灼療法(Radio Frequency Ablation,RFA)の治療効果判定では,造影CT検査による評価との一致性が高く,RFAによる治療効果判定に本剤の造影超音波が有用であることが示唆された.以上の基礎的検討および臨床試験成績より,ソナゾイド造影超音波は,肝腫瘤性病変の診断選択肢の一つとして加わるだけでなく,治療効果判定や疾患マネージメントにも貢献すると考えられる.
- 2007-11-01