透析患者の全体液量の計算法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人体の体液量は各種の物質を用いて測定する方法がすでに確立しているが, これらの方法を透析患者に利用するのは不便である. また, ウレアスペースの測定については山下らの報告があるが, われわれは血液透析患者のウレアスペースを, 血液透析中のBUN濃度とウレアクリアランスのみから求められないかと考え研究を行った. 血液透析をすることにより, ウレアスペースは動力学的に2つのコンパートメントに分かれるが, 2つのコンパートメントが動力学的に等しくなるとき, 静力学的には1コンパートメントと考えられるので, この点をみつければ真のウレアスペースを求めることができる. この考え方で, 数学的に2つのコンパートメントが動力学的に等しくなる点を理論的に求めた. そして, 実際の計算では, BUN濃度の測定誤差対策として修正移動平均 (RMA) をとりBUN濃度の近似関数に4次式を用いてウレアスペースを求めた. こうして得られた結果が合理的なものであるかどうかを検証するためNAAP法の正常値と仲里, 小川らの透析後の透析患者に重水を投与して得られた総体液量との比較をしてみたところほぼ同様の値を示した. また, 同一被検者について2回以上の検査を行った症例では再現性のある値を得ることができた. われわれは, 独自の考えに基づいて, 透析患者のウレアスペースを求める方法を作成した. この方法は患者負担が少なく, また再現性にも優れ, 精度も高く臨床応用可能な全体液量の計算方法と考えられる.
- 2007-05-28
著者
関連論文
- 透析患者における脳血管障害についての臨床的検討-脳出血と脳梗塞の比較を中心として-
- 慢性血液透析患者における開心術後の薬剤誘発性房室および心室内刺激伝導障害の1例-塩酸ピルジカイニドの透析性についての検討-
- 透析患者の全体液量の計算法
- 狭心痛発作を初発症状とした真性多血症の1例 : 第44回日本循環器学会九州地方会
- 長期血液透析患者に発生した前立腺癌の1例