呼吸器と睡眠異常
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概要
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睡眠中の呼吸制御系の変化として,上気道抵抗の上昇,呼吸筋,特に肋間筋やその他の補助呼吸筋の活動性低下が特徴であり,換気量の低下,肺気量減少に伴う動脈血酸素分圧の低下がもたらされる.呼吸調節の面では炭酸ガスおよび低酸素換気応答が低下する.これらの変化はレム期において著明であり,健常人でも呼吸は不安定になる.こうした睡眠に伴う呼吸の変化は,睡眠時の体位,性,年齢,アルコール,睡眠薬などの薬物,妊娠の有無,居住地の高さなどさまざまな因子の影響を受ける.健常者にとっては問題にならないこうした変化も,背景に慢性呼吸器疾患や神経筋疾患,肥満や上気道の異常などがある場合には,容易に睡眠呼吸障害の発症に結びつく.睡眠呼吸障害の代表的疾患である閉塞型睡眠時無呼吸症候群も,上気道の形態的・機能的異常を背景に,睡眠中の呼吸制御系の異常が加わって発症し,重症度に応じた治療が施されている.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2007-06-01