大腸穿孔による汎発性腹膜炎症例の重症度評価におけるPOSSUMと CR (Colorectal)-POSSUM の比較検討

概要

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大腸穿孔による腹膜炎に対して緊急手術を施行した46症例を対象として, POSSUMとCR (Colorectal) -POSSUMの重症度評価能の比較検討を行った. 穿孔部位は下部大腸に多く認められ, 穿孔の原因の多くは憩室によるものであった. 生存群と非生存群間による比較では, POSSUM以外には, 背景因子に有意差を認めなかった. 性別, 手術時間, 腹水の量, 発症から手術にいたるまでの時間, CR-POSSUM, POSSUMについて多変量解析を行ったところ, POSSUMのみが単独の独立した予後関連因子であった (Odds ratio 1.187, 95%C.I. 1.016〜1.388, p=0.0311). またROC curveから, CR-POSSUMとPOSSUM, 各々のcut off値を21と59に設定し, sensitivityとaccuracyをそれぞれ算出すると, CR-POSSSUM : 87.5%, 60.9%, POSSUM : 87.5%, 80.4%との結果が得られ, POSSUMのCR-POSSSUMに対する優越が示された.これらの結果から, 大腸穿孔による腹膜炎においては, POSSUM高値が最も重要な予後関連因子であり, また重症度評価能はCR-POSSUMよりもPOSSUMが有用であった.
日本大腸肛門病学会の論文
2007-08-10