アトピー性皮膚炎治療薬としてのDP_1作動薬の可能性
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概要
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アトピー性皮膚炎の診断基準には「アトピー性皮膚炎は,増悪・寛解を繰り返す,掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されている.我々は,これらの病態特徴の内“掻痒”に注目し,病態モデルの選定を行った.その結果,皮膚炎を自然発症するNC/Ngaマウスの掻破行動(掻痒)が同マウスの皮膚炎発症に強く関与し,その掻破行動に対する薬物作用も臨床効果と類似性を示すことから,NC/Ngaマウスの掻痒がアトピー性皮膚炎患者の病態を部分的に反映する可能性を示唆した.そこで,NC/Ngaマウスの自発掻破行動を指標に,掻痒の発現機構を検討した結果,これまで掻痒誘発因子の一つと考えられて来たプロスタグランジンD2(prostaglandin D2:PGD2)が,プロスタノイドDP1受容体(DP1)を介してNC/Ngaマウスの掻痒を抑え,更に掻破により傷害された皮膚バリヤの修復に寄与することを見出した.また,皮膚への掻破負荷は,皮膚のPGD2産生量を急激に増加させることから,皮膚においてPGD2が掻痒抑制性の調節物質として,過度の掻破を抑え皮膚傷害を回避するフィードバック機構として存在する可能性を示唆した.NC/Ngaマウスの自発性掻痒に対する,PGD2による抑制と非ステロイド性抗炎症剤(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)による増悪から「アトピー性掻痒のPGD2による調節仮説」なるものを構築し,DP1作動薬のアトピー性掻痒および皮膚炎治療薬としての可能性を考察した.
- 2006-12-01
著者
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