IκBNSによる自然免疫系の活性制御と消化管炎症
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概要
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慢性炎症性腸疾患は,消化管における免疫系の破綻により発症することが知られている.外界異物の生体内侵入を非自己として感知し排除する免疫系は,自然免疫系と獲得免疫系から成り立っているが,これまでは抗原を非自己として認識する獲得免疫系の分子機構が詳細に解析されてきた.そしてT細胞を中心とした獲得免疫系の慢性炎症性腸疾患との関わりが明らかになってきている.しかし,まだ慢性炎症性腸疾患の根本的な原因解明には至っていない.最近,微生物の構成成分を認識するToll-like receptor(TLR)の機能解析により,自然免疫系の活性化機構が明らかになった.さらに,自然免疫系が獲得免疫系の活性化をも制御していることも明らかになってきた.そして自然免疫系の活性制御機構の破綻が,慢性炎症性腸疾患の発症を誘導することも明らかになった.そのため,自然免疫系の活性は,特に大腸粘膜局所においては過剰な免疫応答を抑制するために絶妙に制御されている.その分子機構の一端として,核に発現するIκB分子IκBNSが,自然免疫系細胞において,あるサブセットのTLR依存性の遺伝子発現をNF-κBの活性を抑制することによりブロックし,個体レベルで炎症抑制に関わっている事が明らかになってきた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2006-08-01
著者
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