多発性筋炎・皮膚筋炎に見いだされる特異自己抗体 : 抗CADM-140抗体を中心に
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概要
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膠原病患者血清中には,これまで多彩な自己細胞成分中に対する抗体が見出され,その自己抗体のいくつかは,特定の臨床症状と密接に関連し,病型分類,治療法の選択,予後の推定などに有用である.多発性筋炎/皮膚筋炎(Polymyositis/Dermatomyositis : PM/DM)は,筋力低下を主症状とする慢性炎症性疾患で,多彩な臨床症状,臨床経過,予後を呈する.PM/DM患者血清中においても特異的な自己抗体が見出され,特定の臨床像との関連が明らかになっている.これら自己抗体の産生機序は不明であるが,自己抗原とそれを認識する自己反応性T細胞およびB細胞との協調作用などが想定されている. これまで,筋炎特異自己抗体として,抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体,抗Signal recognition particle (SRP)抗体,抗Mi-2抗体が報告されているが,近年,当教室では,PM/DMのサブタイプである臨床的に筋炎症状のないDM (Clinically amyopathic DM : C-ADM)患者血清中に,約140 kDa蛋白を認識する自己抗体を見出した(抗CADM-140抗体).抗CADM-140抗体は,DM42例中8例(19%)に認め,全例C-ADM症例であった.抗CADM-140抗体陽性DM例は陰性DM例と比較して,急速進行性間質性肺炎と密接に関連していた(50% vs. 6%, P=0.008). 新たな筋炎特異自己抗体の追究は,PM/DMの早期診断・治療法の選択に有用で予後の改善につながるものと期待され,その産生機序の追究は,PM/DMに併発する急速進行性間質性肺炎の病態解明に重要と考えられる.
- 2006-04-30
著者
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