雪国の知恵・こみせ(小店)の今日的意義 : 秋田県鹿角市花輪と青森県黒石市にみる
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概要
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雪国の知恵は数多くあるがこみせもその一つである.こみせ(小店)はこもへとも呼ばれ,主に東北地方での呼称である.新潟など北陸地方ではがんぎ(雁木)と呼ばれている.ともに江戸時代から日本海側の豪雪地帯の都市部で発達した.冬季に風雪から歩行者を守る屋根付きの歩道である.いわばアーケードのルーツといわれている.主に商店街で発展し,商家の主屋から道路に向かって一間(1.8m)ほど庇を延ばした構造である.<BR>こみせ部分の敷地は商家の私有地であり,その建設費も個人の負担である.「私」が「公」のために費用負担するという雪国ならではの生活の知恵が生み出したものである.最盛期(明治末期から戦前まで)には全国74都市にみられたといわれている.戦後,防災上や道路の拡幅工事に伴って,こみせは次第に姿を消していった.<BR>わずかに残る秋田県鹿角市花輪地区と青森県黒石地区での事例を取り上げ,こみせが中心市街地のまちづくりの上で果たしている新たな機能を掘り下げ,雪国の知恵の復活ぶりを明らかにする.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
- 2006-03-15