最近の弥生時代年代論について
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概要
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最近,国立歴史民俗博物館の研究者が,AMSによる弥生時代の14C年代測定値をおもな根拠にして,弥生時代の年代は従来考古学者が一般に考えていた年代よりも,開始時期で約500年,前期末中期初頭で約200年古くなるだろと発表した。考古学的に年代を知るためには,年代が分かっている中国中原地域とつなぐ必要があるが,遠距離になるほど,古くなるほど精度が低くなるという問題があった。さらに文物の流れが片方向だけなので,上限年代しか定まらない。もう一つ,すでに年代が分かっている時点を起点にして,未検証の仮定をしながら過去に遡って年代を推定する方法がある。従来は,後者の方法をおもな根拠に,前者から導かれる上限年代より,だいぶ遅らせた傾斜編年を組み立てていた。しかし,今回の 14C年代は前者の上限年代に近いものであった。弥生時代研究者には従来の年代を支持する人がいまだ少なくないが,大陸研究者の多くは年代の見直しに大きく舵を切ることになった。ただし,測定数の増加や補正の仕方によってはまだ変動の余地がありそうな現状の 14C年代は,考古学的な再検討によってもやや古すぎるように思われる。今回の問題提起は考古学者に従来年代の見直しする契機を与えてくれた。そのことが重要なのである。
- 日本人類学会の論文
- 2005-12-01
著者
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