高カルシウム血症治療薬 ゾレドロン酸水和物(ゾメタ^【○!R】)の薬理学的特性および臨床効果
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概要
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ゾレドロン酸水和物(ゾメタ®)は,ノバルティスファーマ社で合成・開発された新規のヘテロサイクリックビスホスホネートで,悪性腫瘍による高カルシウム血症(HCM)の治療薬である.ゾレドロン酸は他の窒素含有ビスホスホネートと同様に,破骨細胞におけるメバロン酸経路のファルネシル二リン酸合成酵素を阻害して,GTP結合タンパクのゲラニルゲラニル化を抑制することで破骨細胞に対する作用を示すと考えられる.窒素含有ビスホスホネートは,いずれもファルネシル二リン酸合成酵素の阻害活性と骨吸収抑制作用に相関を示したが,ゾレドロン酸が既存のビスホスホネートの中で最も強力な作用を示した.ゾレドロン酸は,破骨細胞の形成を阻害し,破骨細胞のアポトーシスを誘導した.また,マウス頭蓋冠からのカルシウム遊離抑制作用および1,25-dihydroxyvitamin D3誘発高カルシウム血症モデルラットにおけるカルシウム低下作用を示した.腫瘍誘発骨破壊モデルにおいても,ゾレドロン酸は有意な骨吸収抑制作用を示した.臨床試験において,悪性腫瘍による高カルシウム血症患者に対するゾレドロン酸4 mgの血清補正カルシウム値の正常化率は,国内試験で84%であった.海外試験での正常化率は88.4%で,パミドロネート(90 mg;69.7%)に対して優越性が示された.主な副作用は発熱,低リン酸血症,低カリウム血症等であった.ゾレドロン酸は,投与に要する時間が15分間以上と既存のビスホスホネートと比べて短く,医療現場で使用しやすい薬剤である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2005-11-01