女性ホルモン補充療法の効能と問題点 : Women's Health Initiative の成績を基に
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概要
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女性ホルモン補充療法について,その80年近い歴史に関し,どのように評価され,使用されてきたのかを記載した.本療法との関係が深い骨粗鬆症,冠動脈疾患,乳癌についての評価の変遷を特に詳述した.また, WHIの結果と問題点については,種々議論のあるところではあるが,現段階での最新情報について記載した.このRCTであるWHI報告は,女性ホルモン補充療法が万能薬ではないことと,使い方によってはベネフィットがリスクにもなり得るものであるとの警鐘を鳴らした意義は大きい.また, RCTが必ずしも万能ではなく,観察研究もその意義があることを示したつもりでもある.今後の本療法のあり方としては,適格に病態や症状を評価するとともに生活習慣の適正化を指導し,リスクを遠ざけるよう実践させることが先ず基本である.これで効果がみられない場合に薬物療法を行うが,本療法は薬物療法のあくまでも1つの選択肢である.したがって,薬物療法の選択には十分なinformed consentの上, decision makingは患者の考えを優先させる必要がある.そして投与量・投与法は目的にあわせ,個別的に対応する,まさにテーラーメイド医療が求められるわけである.このように本療法は,従来から強調されていた基本的な対応を厳守することが何よりも重要である.
- 社団法人 日本内科学会の論文
- 2005-06-10
著者
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