6. 味覚順応に関わる分子の検索 : 小腸細胞を用いた試み(<総説特集>素材のおいしさを科学する)
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概要
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味の感覚には、強い味刺激によって起こる順応と呼ばれる現象がよく知られている。この味覚の順応は、多くの味覚がG蛋白質共役型受容体で感知されることから、この受容体の調節因子が関わっている可能性が高いと考えられる。そこで、舌と同様な機構で味物質に応答することが最近報告された小腸の培養細胞STC-1をモデルにして、G蛋白質共役型受容体系の調節因子であるRGSファミリーとGRKファミリーを検索した。結果、RGS9とGRK2がSTC-1細胞に見つかり、さらにこれらが実際舌の味細胞にもあることが判明した。そこで、STC-1細胞を用いて味覚応答がこれらの分子の高発現でどう変化するか解析した。すると、少なくてもGRK2の発現で、一部の苦味応答が減弱するのが観察され、その味覚順応における関与の可能性が示唆された。