トキソプラズマ脳炎の確定診断によってAIDSと判明した1例
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概要
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日本国内のAIDS患者増加とともに, 今後脳外科医がAIDSに伴う脳病変と遭遇する機会は増えるものと予想される.今回われわれは, 左麻痺を呈した74歳の日本人男性で, 入院時にHIV感染の情報がなく, トキソプラズマ脳炎の診断から初めてAIDSと判明した症例を経験したので報告する.MRIでは右頭頂葉にリング状の増強効果を示す多発性占拠性病変を認めた.開頭による生検を行い, 免疫染色にてトキソプラズマ脳炎の診断を得た.その後の検査でHIV陽性と判明したが, HIV感染経路は不明のままであった.アセチルスピラマイシンとスルファドキシン・ピリメタミン合剤の投与により病状の進行は停止したが, 神経症状の改善がないままAIDS拠点病院へ転院していった.
- 2005-08-20