気管支学 : ミニ特集「末梢肺小結節病変への経気管支的アプローチ」に寄せて
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概要
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らせん(ヘリカル)CTが普及し, 単純X線写真では見いだされなかった肺内小病変が指摘されるようになった. さまざまな病変の中で最も問題になるのが小さな結節である. 肺癌の可能性があり, 判断を誤って放置または長期経過観察にすると根治療法の機を逃すことがありえるからである. 肺野型肺癌の発見を目的とする肺癌検診を胸部らせんCTで行おうとする試みがなされてきた. 肺癌検診への公的補助金が一般地方財源に含まれて交付されている現在, 胸部CT集団検診への全額公的費用補助はまず困難である. しかし, らせんCTでの優れた肺野結節陰影発見能力は公表され多くの一般者も認知しているので, 受診しようとする者とそれを受け入れようとする医療機関の合意によりさまざまな形で胸部らせんCTが撮られている. 会員制の定期肺癌CT検診, 人間ドックでのオプション, そして検診機関による一部公費負担による胸部CT検診がそれらである. さて, このようにさまざまな医療機関で胸部らせんCTが撮影されると当然多数の者で結節が発見され, その事後措置が必要となる. 現時点では, CT画像での判断基準は暫定的なものであり, 経過観察と判断されてもいずれは結節が小さな段階で確定診断のための検査をすることになる. 肺野小結節への最終的精密検査は胸腔鏡下肺生検であろう. しかし侵襲が少ないとはいえ全身麻酔をかけられ胸壁に小切開を施されることになる. できれば局所麻酔下経気管支的検査で診断してもらいたいというのは万人が望むところである. 今回のミニ特集は上記のような背景に基づいて企画した. まずはルチーンでの気管支鏡による肺野末梢小結節病変の診断能はどの程度であろうか. 小結節というと径10mm前後が区切りになると思われるが普通の気管支鏡だけではなかなか確定診断しにくいであろう. そこで気管支鏡検査現場にてさまざまな工夫がなされ, これまで多くの臨床報告がなされてきた. 今回の特集では, ルチーンの気管支鏡による小結節病変への診断成績と, 極細径気管支鏡による診断, 経気管支超音波検査, 末梢小結節病変近傍からのマイクロサンプリングの意義, そしてCTガイド下での気管支鏡操作による成績についてご紹介いただく. この特集が会員諸氏の日々の臨床に少しでも参考になれば幸いである.
- 日本呼吸器内視鏡学会の論文
- 2005-05-25
著者
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