ケトアシドーシス
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概要
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糖尿病性ケトアシドーシスの主な原因は, 1型糖尿病の新規発症,インスリン治療中断,感染症などの身体的ストレス,過剰な栄養摂取(特に清涼飲料水)などである. 1型糖尿病に多いが2型糖尿病,正常耐糖能でも発症する.インスリン作用障害とグルカゴン作用過剰が,脂肪分解(lipolysis)の機序でケトン体の主な原料となる脂肪酸を肝に供給し,肝でのケトン体産生を亢進させる.高ケトン血症は浸透圧利尿の機序で高度の脱水と電解質異常を招き意識障害にいたる.診断には血液・尿検体での迅速・正確なケトン体陽性所見の確認が必要であるが,救急の際に,注意すべきいくつかのピットフォールがある.治療は,補液,インスリン持続静注,電解質特にK補給が原則である.診断・治療開始の遅れは,病態によっては致命的な不幸な転機を招く可能性が高く,可能であれば意識障害の出現前に重症化を未然に避けなくてはならない.
- 社団法人 日本内科学会の論文
- 2004-08-10