顎堤条件からみたリンガライズドオクルージョンの選択
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概要
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顎堤吸収の著しい全部床義歯患者に与える咬合様式としてリンガライズドオクルージョンの応用があるが, リンガライズドオクルージョンが機能的に優れ, 顎堤吸収例に適用すべきであることは理解できても, どのような顎堤条件の患者に選択すべきなのか, 根拠に裏づけられた選択基準は存在しない.このような要求から, 顎堤条件によるリンガライズドオクルージョンの選択について検討した.その結果, 顎堤条件の良い患者ではリンガライズドオクルージョンを与えることの効果は明確でなく, また顎堤条件の悪い患者ではリンガライズドオクルージョンで効率の良い, 安定した咀嚼が可能であることが示された。リンガライズドオクルージョンを与えることによって得られる舌側化咬合の効果も顎堤条件の好まし.くない患者で著明であることが示された.このことからリンガライズドオクルージョン適用のボーダーラインを設定すると, 残存歯槽骨の比率がおおむね0.5以下, すなわちオトガイ孔下縁から下顎骨上縁までの距離が, オトガイ孔下縁から下顎骨下縁までの距離の半分以下であること, 義歯床の負担面積はおおむね2, 000mm<SUP>2</SUP>以下であることが示された.この基準を設けてリンガライズドオクルージョンを応用すれば, その効果は期待できることが明らかとなった.しかし, これは1つの目安であり, すべての症例に適用できるものではない.臨床では患者の局所的, 全身的状態を診査し, 把握して選択することが肝要であろう.
- 社団法人 日本補綴歯科学会の論文
- 2004-10-10
著者
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